長野県は、都市部からのアクセスがよく、自然豊かであることなどから、移住したい土地として全国トップクラスの人気を誇る県です。加えて、平均年収も高めの傾向にあることなど、仕事をするうえでも条件が良いエリアだと言えます。新型コロナウイルスの流行もあり、長野県へのUターン就職を考えている人は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、長野県にUターン就職するメリットを紹介します。独自の支援制度も紹介するため、長野県へのUターン就職を少しでも検討している人は、ぜひ参考にしてください。

長野県の特徴

はじめに、長野県の特徴を整理しておきましょう。

仕事面と生活面における長野県の概要や特徴を紹介します。

生活面の特徴

長野県は、県全域が豊かな自然に囲まれており、落ち着いたライフスタイルを送れる県です。特に県庁所在地の長野市、中信部に位置する松本市や安曇野などが住みやすい街として人気を集めています。また、軽井沢やスキーリゾートなどの有名観光地が多いことも特徴です。

長野県は、移住したい土地として名前があがることが多い県です。NPO法人ふるさと回帰支援センターが実施する「2019年移住希望地域ランキング」では、長野県が1位に輝いています。同ランキングにおいて長野県は2017〜2019年において3年連続1位を確保しており、全国的な高い人気が伺えます。

引用:2019年の移住相談の傾向、移住希望地ランキング公開|NPO法人ふるさと回帰支援センター

仕事面の特徴

長野県は、特に精密機械工業が盛んな県です。第二次世界大戦後から多くの製造工場が長野県に集まっており、現在もなお、県を代表する産業のひとつとなっています。

下記は、長野県に本社を置く有名企業の一例です。

  • セイコーエプソン株式会社
  • ミネベアミツミ株式会社
  • ルビコン株式会社
  • KOA株式会社

また、長野県は野菜や果物などの農業も全国トップクラスに盛んです。圧倒的な出荷量を誇るレタスをはじめ、セロリや白菜、ブドウなどの多くの農産物において国内上位の出荷量となっています。

長野県にUターン就職するメリット

長野県への就職は、ほかの県にはない良い点が複数あります。Uターン就職を検討するうえでは、その土地で働くメリットをあらかじめ把握しておくことが重要です。

ここからは、長野県にUターン就職するメリットを3つ紹介します。

就職の難易度が高くない

長野県の有効求人倍率は、令和2年11月時点で1.09倍です。有効求人倍率が1倍を超えているので、長野県では求人数が求職者数を上回っていることが分かります。長野県での就職難易度は高くないと言えるでしょう。

新型コロナウイルスの影響もあり、あらたな人材の雇用が難しくなっている企業が多くあります。有効求人倍率が1倍を切る県もあるなかで、転職の難易度が低いことは就職するうえで大きなメリットとなるでしょう。

引用:最近の雇用情勢(令和2年11月分)|厚生労働省

都市部へのアクセスが良い

長野県は、都市部へのアクセスの良さも特徴的です。

たとえば、県の中心部に位置する松本市から東京までは車で約2時間50分、名古屋までは約2時間30分ほどです。また、直行便バスや新幹線も出ているので、移動方法も複数あります。電車を使っても3時間かからないので、日帰りでの移動も十分に可能でしょう。

自然が多く、落ち着いた暮らしができる

長野県は自然豊かで、落ち着いた暮らしをするには最適だと言えます。日帰り温泉の数が日本一であることも特徴です。自然を活かしたレジャー、リゾート地も多く、多様なライフスタイルを築くことができるでしょう。

特に、近年は新型コロナウイルスの流行もあり、人口が多い都市部では行動が制限されやすいです。長野県で落ち着いた暮らしができることは、今の時代だからこそ大きなメリットだと言えるでしょう。

長野県におけるUターン就職への支援制度

長野県では、さまざまなUターン就職への支援をおこなっています。

県内の幅広い自治体で実施している「長野県移住支援金」と「ソーシャル・ビジネス創業支援金」を中心に、長野県におけるUターン支援制度を見ていきましょう。

長野県移住支援金

概要

長野県移住支援金は、県内における人材不足解消と移住促進を図るために、長野県と県内市町村で実施している支援制度です。

支援金額

単身世帯:最大60万円

2人以上世帯:最大100万円/世帯

対象者の要件

長野県移住支援金の対象者となるためには、下記に記す「移住等に関する要件」を満たしたうえで、「就業に関する要件」または「創業に関する要件」のいずれかの対象となる必要があります。

それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。

※要件はすべて令和3年1月現在のものです。

【移住等に関する要件】
〇移住元について
・平成31年4月1日~令和2年3月31日に転入した場合
住民票を移す直前に、連続した5年以上東京圏、愛知県または大阪府に在住しており、かつ住民票を移す3か月前の段階で連続した5年以上就労していたこと。

・令和2年4月1日以降に転入した場合
住民票を移す直前の10年以内に、通算5年以上、東京圏、愛知県または大阪府に在住し、かつ就労(被用者の場合、雇用保険の被保険者としての就労に限る)していたこと。
ただし、住民票を移す直前に、連続した1年以上、東京圏、愛知県または大阪府に在住し、かつ就労をしていた場合に限る。なお、就労期間の起算日は、住民票を移す3か月前までさかのぼことができる。

〇移住先について
下記いずれかの要件を満たすこと。

  • 長野県内の移住支援事業を実施する市町村に転入したこと
  • 平成31年4月1日以降かつ当該市町村が移住支援金の補助対象とする日以降に転入したこと
  • 移住支援金の申請時において、当該市町村への転入後3か月以上1年以内であること
  • 移住支援金の申請日から5年以上、当該市町村に継続して居住する意思があること

〇その他
下記いずれかの要件を満たすこと。

  • 暴力団などの反社会的勢力や反社会的勢力と関係がないこと
  • 日本人、外国人であって永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者もしくは特別永住者など、いずれかの在留資格を有すること
  • 居住地の市町村が、移住支援金の対象として不適当と認めた者でないこと

〇世帯について
下記いずれかの要件を満たすこと。

  • 申請者を含む2人以上の世帯員が、移住元において同一世帯に属していたこと
  • 申請者を含む2人以上の世帯員が、申請時において同一世帯に属していること
  • 申請者を含む2人以上の世帯員のいずれもが、平成31年4月1日以降であって、居住地の市町村が移住支援金の補助対象とする日以降に転入したこと
  • 申請者を含む2人以上の世帯員のいずれもが、支給申請時において転入後3か月以上1年以内であること
  • 申請者を含む2人以上の世帯員のいずれもが、暴力団などの反社会的勢力または反社会的勢力と関係がないこと

【就業に関する要件】
〇就職先に関する要件
下記いずれかの要件を満たすこと。

  • 勤務地の所在が東京圏以外の地域であること
  • 就業先が、移住支援金の対象として県が運営するマッチングサイト「信州で働こう!長野県移住支援金対象求人特集」に掲載している求人に応募して採用されたものであること
  • 就業先が、3親等以内の親族が代表者や取締役などを務めて経営を担う企業でないこと

〇就業条件等に関する要件
下記いずれかの要件を満たすこと。

  • 週20時間以上の無期雇用契約に基づいて対象企業などに就業し、申請時において当該企業などに連続して3か月以上在職していること
  • 上記で紹介したマッチングサイトの求人への応募日が、マッチングサイトに当該求人が移住支援金の対象として掲載された日以降であること
  • 当該企業などに、移住支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思があること
  • 転勤、出向、出張、研修などの勤務地変更によるものではなく、新規の雇用であること

【創業に関する要件】
ソーシャル・ビジネス創業支援金の交付決定を受けていること。

出典:UIJターン・創業移住支援事業のご案内|長野県

ソーシャル・ビジネス創業支援金

概要

ソーシャル・ビジネス創業支援金は、県内で地域課題に関する事業を創業する場合の費用を補助する制度です。ソーシャル・イノベーションによる創業を促進する目的でおこなわれています。

支援金額

上限200万円、補助率2分の1

対象者の要件

令和2年5月18日から令和3年1月31日までに、長野県で個人事業の開業届もしくは株式会社・合同会社・合名会社・合資会社・企業組合・協業組合・NPO法人などの設立をおこなう人(対象とする事業の要件あり)。さらに、長野県に居住、または令和3年1月31日までに居住を予定している人。

出典:ソーシャル・ビジネス創業支援金について|長野県

各自治体で設定している支援制度

県広域でおこなっている上記の支援制度のほか、自治体独自での取り組みもあります。各自治体でおこなっている支援制度の一例を見ていきましょう。

大町市:お帰りなさい!ふるさと・Uターン

1年以上市外に住所があった大町市出身者のUターンを歓迎するための制度です。一定の条件を満たすことで、市内で利用できる商品券3万円分を受け取れます。大町市では、このほかにもさまざまな定住奨励事業に取り組んでいることが特徴的です。

出典:U・Iターンをされた皆さんに商品券を送ります|大町市

箕輪町:U・Iターン応援奨学金返還支援補助金

上伊那区域外から町内に引っ越して住民登録をしている人に対し、日本学生支援機構の奨学金や公益財団法人交通遺児育英会奨学金などへの奨学金補助をおこなう制度です。奨学金を借りている人は、ぜひ参考にしてください。

出典:U・Iターン応援奨学金返還支援補助金|箕輪町