将来的には長野県で福祉関係の仕事に就けたら…と考えていても、「長野にある福祉の仕事って?」と聞かれると、実はあまりよくわかってないという方も多いのではないでしょうか。超高齢化社会と言われる日本は、今後も高齢者率が高くなると予測されます。長野県も例外ではなく、近い将来、さらに医療や福祉の必要性が高まると考えられます。
こちらの記事では、福祉業界の基礎知識や人気の職種、長野県における福祉の将来性について紹介しています。就活に活かすためにも、どのような仕事があるのか、自分にふさわしい職種は何か、福祉関係の仕事についてよく理解しておくことが大切です。
福祉業界の仕事について
福祉業界にはどのような仕事があるのでしょうか。まずは福祉業界の基礎知識を勉強し、福祉に関する理解を深めておきましょう。
福祉の仕事とは
福祉の仕事には、公的なサービスとそれ以外のサービスがあり、数多くの福祉専門職が活躍の場を広げています。税金や保険料により支えられているサービスが公的なサービスで、設備や従事者、運営には法律による規定があります。それ以外のサービスには、有料老人ホーム、高齢者住宅、福祉機器販売、認可保育施設、外出支援サービスなどがあります。また、NPOなどによる助け合い活動も福祉サービスの1つです。
対人援助サービスの対象
福祉業界の対人援助サービスは、高齢者、障害児・者、児童、その他母子家庭や低所得者などの生活困窮者等の4つの対象に分かれています。
福祉業界の勤務形態
対人援助サービスに携わる職場では、サービスの種類によって勤務形態が異なります。「入所型」では、24時間365日のサービスを提供しており、日勤主体で変則勤務もあります。「通所型」では、日勤が主になりますが、早出や遅出といった交代制をとる職場もあります。「訪問型」は、必要な時に利用者宅を訪問する、訪問介護事業所のホームヘルパーが代表的です。
福祉サービスの6つの分野
社会福祉のサービスを分類すると、以下の6つの分野に分けることができます。それぞれどのような仕事をするのか紹介します。
介護
身体および精神的な障害や病気により、日常生活に支障をきたす人の介護を行う仕事です。職種としては、ケアワーカーやホームヘルパーなどがあります。
保育
子供に食事、トイレ、睡眠などの生活習慣の基本を学んだり、遊びによって集団活動や社会性を育むサポートを行う仕事です。職種には保育士や保育教諭などがあります。
介護・リハビリテーション関係
看護職は、医師の医療行為のサポートや、患者の日常的な健康・衛生管理、医療ケアを行う仕事で、看護師や保健師などがあります。リハビリテーション関係では、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士などの職種があり、身体障害の機能回復や日常生活への復帰を目的としたリハビリテーションをする仕事があります。
相談援助
利用者の生活全般の相談に乗り、アドバイスや支援、精神的サポートなどを行う仕事です。職種には、ソーシャルワーカーや生活指導員、生活相談員、ケアマネジャーなどがあります。
栄養・調理関係
利用者の食生活をサポートする役割を担う仕事です。栄養士や調理員などの職種があります。
運営・管理
管理者として、あるいは事務や経理など、施設・事業所の運営管理を任される仕事となります。施設長や事務職員などの職種があります。
福祉関係の人気の職種と仕事内容
福祉関係の仕事には、国家資格が必要なものから資格や経験がなくても飛び込めるものまで、様々な職種があります。中でも求人が多いとされる人気の職種を紹介します。
ケアワーカー
お年寄りや障害のある人の日常生活を支援する仕事です。介護福祉士やホームヘルパーの資格があると有利とされています。主に、高齢者・障害者施設や事業所、特別老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、グループホーム、デイサービスセンターが活躍の場となります。
訪問介護員(ホームヘルパー)
お年寄りや障害のある人など、介護を必要とする方の身の回りや日常生活を支援します。食事や入浴、排泄、通院介助、見守りなどの「身体介護」、調理や洗濯、買い物などを行う「生活援助」の2つのサービスがあります。働く環境はケアワーカーと同じです。
保育士
国家資格が必要な職種です。保護者に代わり、食事やトイレ、一緒に遊んだりしながら、基本的な生活習慣や社会性を育むようサポートを行います。保育計画や発達記録を作成したり、園の行事の企画・運営なども任されます。活躍の場には、保育園や認定こども園、児童養護施設、児童館、病児保育園などがあります。
介護福祉士
国家資格であり、介護が必要とされる人に介護支援を行うのが介護福祉士です。ホームヘルパー同様、身体介護と生活援助のサービスがあり、加えて利用者や家族へのアドバイスや社会活動の支援なども行うことがあります。就職先は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き老人ホームなどになります。
社会福祉士(ソーシャルワーカー)
職場によって仕事内容は変わってきますが、基本業務は相談支援業務となります。相談者とその家族とコミュニケーションをとりながら、アドバイスや調整を行う仕事です。勤務先には、高齢者施設や障害者施設などの福祉施設、児童相談所、病院、保健所などの医療機関もあります。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
国家資格ではありませんが、公的資格として介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要がある職種です。介護相談のプロとして、介護保険制度に基づき、要介護の人のケアマネジメントを行います。相談を受けて抱える問題を分析し、介護サービス計画書を立案し改善へと導きます。利用者や家族の代理として要介護認定の申請なども行います。居宅介護支援事業所で勤務する「居宅ケアマネジャー」と、特別養護老人ホームなどで勤務する「施設ケアマネジャー」の2形態があります。
ケースワーカー
病院やクリニックなどの医療の現場で患者の看護や診療サポートを行う看護師は、国家資格が必要となる職種です。さらに、介護施設、保育所、学校、訪問看護事業所や介護老人保健施設など、活躍の場を広げています。
理学療法士
PTと呼ばれる理学療法士も国家資格の1つです。病院やクリニック、介護保険関連の施設が勤務先となり、怪我や病気により障害のある人や障害が起こると予想される人に対して、運動療法や物理療法を行い、日常生活を支援するリハビリテーションの専門職です。
長野県の福祉サービス事情
長野県の福祉サービスの様々な取り組みについて紹介します。
長野県福祉のまちづくり条例
長野県では、「長野県福祉のまちづくり条例」を独自に制定しています。これは、障害者の方や高齢者の方をはじめ、長野県で暮らすすべての人が安心して活動し、社会参加できるような福祉のまちづくりを目指すものです。例えば、特定施設を新設する際には、設定されている施設整備基準を満たすよう努めなければいけません。このような試みには、誰もが住みやすい地域にしようという長野県の福祉に対して注力する姿が現れています。
長野県の福祉一般
長野県では、長野県社会福祉協議会などと連携し、福祉や介護の人材確保のための支援事業を実施しており、福祉関連で働きたいと希望する方と、人材を求める施設や事業所との橋渡しを行っています。さらに、2012年から福祉職員障害研修を実施しており、他にも認知症介護実践者等養成研修、介護支援専門員研修、介護職員養成研修なども行っています。
長野県の高齢者福祉
長野県では、老人福祉施設等整備事業補助金や、長野県地域医療介護総合確保基金事業補助金など、介護施設の整備に関する補助制度が設けられています。これにより、広域型特別養護老人ホームや地域密着型特別養護老人ホームなどの整備をサポートし、高齢者福祉の充実を図ります。
長野県の障害者福祉
長野県では、障害者総合支援法に基づき、対象となる障害者の方が原則費用の1割負担で利用できる、介護給付や訓練等給付、地域生活支援事業、補装具費の支給、自立支援医療などの障害福祉サービスを実施しています。こうした取り組みにより、障害のある方の自立を支援しています。
長野県の福祉業界の将来性
これから就活を行う方にとっては、長野県の福祉業界の将来性も気になるところです。日本全体の労働市場の推移を踏まえ、雇用情勢や介護職員の賃金の推移から将来性について考えてみましょう。
長野県の雇用情勢
長野労働局による労働市場情報によれば、雇用情勢のとりまとめで新規求職者は2011年から減少傾向にあります。
その一方で、有効求人倍率の推移は2011年の0.76倍から徐々に上がり2017年で1.74倍となっています。2017年からは徐々に下がりつつありますが、2020年では1.18倍に上がり、2011年と比較すると長野県の求人の改善が進んでいると言えるでしょう。
年次 | 新規求職者数 | 有効求人倍率 |
2020年 | 6.275人 | 1.18倍 |
2019年 | 6.710人 | 1.50倍 |
2018年 | 6.272人 | 1.68倍 |
2017年 | 6.916人 | 1.74倍 |
2016年 | 6.839人 | 1.56倍 |
2015年 | 7,448人 | 1.26倍 |
2014年 | 7,554人 | 1.16倍 |
2013年 | 7,902人 | 1.00倍 |
2012年 | 8,585人 | 0.81倍 |
2011年 | 9,118人 | 0.61倍 |
※各年12月のデータを引用。
引用元:求人・求職の状況|長野労働局
介護職員の賃金の推移
厚生労働省のデータを見ると、2014年では25.6万円でしたが2019年では2014年と比較して3.2万円の増加が見られます。年々少しずつではありますが、増加傾向にあります。
また、今後高齢者が増加することが予想されているため、介護職員処遇改善加算の見直しが検討されています。更に、介護人材の確保が求められているため、賃金以外の面でも働きやすい環境の整備などが進められるでしょう。
年次 | 賞与込み給与 |
2019年 | 28.8万円 |
2018年 | 28.3万円 |
2017年 | 27.4万円 |
2016年 | 26.7万円 |
2015年 | 26.2万円 |
2014年 | 25.6万円 |
※賞与込み給与は、調査年の6月分として支払われた給与に調査年の前年の1月から12月分の賞与の1/12を加えて算出した額。
引用元:介護職員の賃金の推移|厚生労働省
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