長野県での就職を考えている方、特にここでは飲食業界への就職を検討している方に役立つ情報をまとめています。飲食業界全体の状況や長野県内の現状を踏まえて解説します。

飲食業界とは

『飲食』は、大きく分けると店舗による「食堂」と学校や病院・介護施設、企業内などの「集団給食施設」の2種類の施設に分けられます。
『飲食業』とは、上記の施設で食事のほか酒類やソフトドリンクといった飲料を提供する産業です。
昨今では自宅での飲食に対して「外食」という言葉もすっかり定着しました。

近年のトレンド

飲食業界というとレストランなど「外食」のイメージが強いですが、新型コロナの流行によって、総菜やデリバリーなど、調理されたものを持ち帰る「中食」も注目されており、外食を営む店舗もデリバリーやテークアウトを積極的に取り入れるようになっています。また、テークアウトは店内飲食よりも消費税率が低いことも、利用を後押ししている側面があります。
介護食など、給食分野でもデリバリーの需要が高まっています。

飲食業のメリット・デメリット

人が生きていく中で欠かせない「食」にまつわる業種である「飲食業界」。その魅力と大変な点はどのようなものがあるか見ていきます。

メリット

  • 顧客の反応をダイレクトに感じられる
  • さまざまな人と知り合える機会がある
  • 調理や経営管理等の幅広いスキルが身に付く
  • 独立が目指せる

デメリット

  • 立ち仕事が多いため肉体的にハード
  • 勤務時間が不規則
    一般的な休み時が飲食業の働き時なので土日も休みにくい。また飲食の種類によっては早朝の仕込みがあったり夜間の勤務があったりと不規則になりやすい。
  • さまざまな視点やスキルが求められる
    選択する職種にもよりますが、調理以外にも接客対応、新規メニュー開発、店舗管理など多種多様なスキルが必要とされる。

デメリットと言っても裏を返せばメリットにもなります。一般的な勤務時間とは異なるが故に平日に休みを取って出掛けられますし、いろいろなスキルを身に付けたい人には学びの多い業種です。

飲食業界の代表的な経営形態と業種

飲食業の経営形態は「チェーン店」と「個人経営店」の2つに大別できます。
そしてその経営形態のもと、レストランやファミレス、カフェ、居酒屋、回転ずし、デリバリーを含む販売専門店や給食調理等の業種が存在しています。

全国チェーン店

店舗デザイン、制服などスタイルが統一されていて全国どこでも安定して認識してもらえるのがチェーン店になります。
マニュアルや研修の体制などが整っているので初めて飲食業界で働く場合も効率よく仕事を覚えることが可能です。
経営本部が和食や洋食などさまざまな種類の店舗を運営していることも多いので、会社を変えることなく他ジャンルにチャレンジしたり、商品開発や広報、人事など本部業務への登用など多彩なキャリアアップが望めるのも特徴です。
経営母体からお店の名前、商品などを使う権利をもらう代わりに、売上の一部を支払うという「フランチャイズ」という経営スタイルもあります。

個人経営店

チェーン店と比べると小規模になる個人経営店。地域との密着性や経営者の個性などで業態もさまざまです。小規模で経営者との距離も近いのでスタッフの意見やアイデアを聞いてもらいやすい場合も多いです。
小人数で運営していくため、調理や接客以外の業務を任される可能性もあるので幅広いスキルを磨くチャンスとなります。
また将来的に独立したいと考えている場合は、店舗経営や管理業務をダイレクトに学べる場と言えます。

外食業界の主な業種

レストラン、ファミレス

飲食業界の主要な業種。外食産業の代表格でもあります。取扱商品は和食から中華、洋食などさまざま。最近では民族料理や地元食材に特化したメニューを展開する店舗も増えています。
客層は高齢者から子供まで幅広いことが特徴です。
業務内容は食事を調理するキッチン業務と接客や配膳などを担当するホール業務に大別する事ができます。
フランチャイズを含む全国チェーン店が多いです。

ファストフード

取扱商品は牛丼やハンバーガーなどが代表的。
食事の提供価格が安く、また提供までの時間が短いのが特徴です。
調理業務と接客業務の両方を同じスタッフに任せることもあります。
ファストフード店もフランチャイズ経営をしている企業は多いです。

カフェ

コーヒーなどの飲料、軽食を提供するのがカフェです。大手チェーン店も増えており、会社員や学生、主婦層等、幅広い客層を持つことも特徴です。また、一度に在中する従業員が少ないことが多く、ファストフード同様、調理から接客までをこなせる必要があります。
小規模のカフェであれば調理や接客以外の清掃や会計業務といったバックオフィスについても担当する可能性があるでしょう。

居酒屋

居酒屋はこれまでの業種とは客層も業務スタイルも大きく異なります。利用客は学生やサラリーマンが中心で、夕方から深夜にかけての勤務となるため、生活スタイルにも影響が及びます。
お酒を提供するのがメインである点も特徴的です。
店舗の規模が大きくなるほど調理担当と飲み物担当を分けるなど分業制になる傾向があります。

回転ずし

今やメインである寿司以外にもデザートや麺類、カレーなど多種多様なメニューで人気の回転ずし。
メニューが豊富なので客層はファミリーから学生や会社員、年齢層も子供から老人までと幅広くカバーしています。
カジュアルな価格帯の店舗もあれば高級寿司を展開するチェーン店もあり、それぞれターゲット層が異なっています。

デリバリーや弁当・惣菜・パン、ケーキなどの販売専門店

中食とされる分野。
中食はテークアウトやデリバリーなどの業態で、お弁当屋さんや百貨店に入っている惣菜店舗なども該当します。中食だけを取り扱っている企業もあれば、外食と併せて中食も提供している企業もあります。
特に、デリバリーだけの企業であれば、接客の機会は少なくなります。その分店舗を直接見かける機会も減り、Webサイトや広告などを用いて効果的に宣伝を行っていくことが大事になります。

給食センターや社員食堂、保育・介護施設での調理

社員食堂、病院、介護施設、保育所、学校といった提供場所で食事を調理する業種です。
決められたメニューを調理するだけでなく、アレルギー除去食や病院での治療食など個々に合わせた対応も求められるケースが増えています。

飲食業界での職種と仕事内容

次に、実際の仕事内容に大きく関わる、職種について説明していきます。飲食といっても全員が調理をするわけではありません。運営を続けるためには事務的な作業もあります。
チェーン店か個人経営店か、デリバリーなどの中食専門か給食施設かでも仕事内容が異なる部分もあります。

以下でその種類と仕事内容について見ていきましょう。

チェーン店

企業によって出店しているチェーン店は正社員かアルバイトであるかでその役割は変わってきます。

正社員

長期雇用を前提として月給制で雇用され、将来的には店長やマネジャー等の管理職へのスキルアップも望めます。

【店舗スタッフ】

まずは店舗スタッフから始め、「接客」や「調理」業務以外にも新人スタッフの教育や、在庫管理、仕込みなども行います。正社員として入り、店長になった場合にはシフト作成なども行うことになるでしょう。

【商品開発】

店舗等で提供するメニューを考えるのが商品開発です。バイヤーもここに含まれます。商品開発において重要なのは、おいしさの追及だけでなく、企業への貢献、つまり利益を出すという観点です。おいしくても利益が出なければ意味がありません。もちろん、企業の戦略として一部利益率の低いものがあっても良いでしょうが、全体としては利益を出せるような方向へ進ませなければなりません。
理想は低価格・高品質の材料を利用し、より高い価値のものを提供、多くの人が食べてくれることにありますので、商品開発を担う者が、できるだけそれを実現できるようなメニューを考えなくてはなりません。

【販売促進】

売り上げを伸ばすのであれば、良いものを作るだけでは不十分です。そこでキャンペーンを企画したり広告を打ったりする人員が必要です。販売促進を行う者は、できるだけ多くの人の目に自社商品・サービスが触れるようにすること、より魅力的に見せる工夫をすることなどが仕事です。
そのためには市場調査、競合他社の調査なども手掛け、店舗開発なども行うことになります。店舗の立地や、どのような店舗にするかは、売り上げに大きく関わるからです。

アルバイト

アルバイトは週単位や月単位で前もって勤務時間帯を決め、シフトを組んで働いていくことが多いです。
調理や接客業務、清掃や仕込みなど、仕事内容は多岐にわたります。経験を積んでアルバイトリーダーを任されることもあります。スキルアップし、時給が上がっていくという昇給スタイルが一般的です。

個人経営店

経営店舗の種類によって仕事内容は変わりますが、多くの場合個人経営の飲食店では経営者がさまざまな業務を兼任して行う事がほとんどです。
専門の業者に任せて効率やクオリティアップを図れる業務もあるので、必ず経営者のみで全ての業務をこなさなければいけない訳ではありません。

仕入れ業務も含む総合事務

売り上げ管理、顧客管理、経費管理のほか、提供する料理や飲料に使用する食材の選定や仕入れのスケジュール管理、従業員を雇う場合は採用作業やシフト管理といった業務も行っていきます。

メニュー開発

出店地域や飲食業全体のニーズの調査も含め、店独自の売りとなるメニューの開発は最重要と言えます。

宣伝

店舗のチラシ作成、SNSを利用した広報活動など、さまざまな方法でお店を認知してもらうために宣伝していきます。

人事業務

スタッフを採用する場合、採用業務や接客指導、給与管理なども経営者の仕事となります。

デリバリーや弁当・惣菜・パン、ケーキなどの販売専門店

需要の伸びている「中食」ですが、その仕事内容は「外食」より更に多岐にわたっています。

営業

店頭販売や外部への売り込み。キッチンカーなどでの移動販売もあれば、出店場所の選定や交渉なども大事な仕事となっていきます。

技術

食事に使用する原料や製造工程の設計など。生産技術も刻々と変化していくのでそれらを駆使して設計・製造していく専門性の高い仕事になります。

企画・開発

新商品の企画・開発や、既存商品のクオリティアップ案の創出など。顧客層のニーズとコストとのバランスを取りつつ進める仕事と言えます。

物流

どのように顧客に商品を届けるか。配送のタイミングや回数、出荷に関わるスタッフの手配や管理なども含まれます。

給食センターや社員食堂、保育・介護施設での調理

給食施設での調理となるので接客業務は少ない傾向があります。

調理

給食施設での調理は、栄養管理士や栄養士などの指示・献立に基づいて食材の納品確認、下処理、大量の調理を行います。
盛り付けや配膳、機材の洗浄消毒、食器洗浄、ゴミ処理、調理環境の掃除なども含まれます。

メニュー開発

食事の提供対象の求める栄養が異なるので、それぞれの場にあったメニューを提案する必要があります。保育園や学校の給食と企業の社員食堂ではニーズも必要な栄養も異なります。アレルギー除去食や治療食といった専門性の高い献立の考案も求められる場合もあります。

点検、事務作業

終業時に設備の点検を行い記録する業務、調理前の食材や水に混入物がないかの点検、水質のチェック業務などを行います。

長野県における飲食業界への就職

飲食業界の概要を見てきましたが、ここからは長野県での飲食関係への就職についてになります。

長野県の飲食業界の雇用状況

長野県における飲食業界の雇用状況等を見ていきましょう。

長野労働局が発表した資料によると、飲食店の新規求人数はここ数年減少傾向にあることが分かります。下表は各年12月時点における新規求人数をまとめたものですが、特に2020年はコロナ禍ということもあり、大幅に下がっています。ただ、この傾向は建設業や情報通信業以外のほとんどの産業で見られるものです。

年次 新規求人数
2020年 427人
2019年 543人
2018年 564人
2017年 637人
2016年 682人
2015年 636人
2014年 570人
2013年 456人
2012年 507人
2011年 558人

※各年12月のデータを引用(正社員、アルバイト、パートを含めた全数)

引用元:雇用情勢|長野労働局

長野県の飲食業界の景気

長野県産業労働部では景気動向調査の結果も公表しています。県内700社を対象にヒアリングした結果がまとめられています。
2021年4月に行われた調査によると、飲食業では「新型コロナウイルス感染防止対策の継続によって観光および法人の利用が減少しているものの、全国的に緊急事態宣言が発令された前年よりは客数が増加している」と分かっています。

まだまだ新型コロナウイルスの影響を受けることが予想され、今後も大きな打撃を受ける可能性はあります。しかしながら、同調査で少しでも良い傾向が見られたのは、飲食業界への就職を希望する方にとってうれしい結果ではないでしょうか。

引用元:長野県ホームページ|景気動向調査結果

長野県での飲食業界就職先の探し方

長野県と一口に言ってもエリアにより就業先の形態がさまざまとなります。
全国展開のチェーン店はもちろんですが、観光先としての需要もある長野県。大規模ショッピングセンター、ホテルやペンションといった宿泊施設、繁華街での飲食店など、就労先候補となる飲食店は多様です。
自分の望む雇用・勤務形態と照らし合わせて就職先を探していく必要があります。

実際に長野に行って見る

飲食業の場合、店舗があれば求人広告を出さず直接募集の張り紙を貼る場合も多く見受けられます。

長野県のホームページやハローワークで情報収集をする

実際に行くとなると時間的物理的にも大変ですし、時間内で収集できる情報量も限られています。
長野県のホームページでは「雇用対策」のページに県内の就職に関する情報がまとめれているので短時間で多くの情報を得ることが可能です。
ハローワークであれば、地域密着の店舗が求人を出しているのでそちらも良い情報源となります。

参考元:長野県ホームページ

地方に強い転職エージェントに相談する

個人での情報収集はもちろん重要ですが、選択範囲が狭くなってしまう可能性や長野自体に詳しくない場合は自分の希望や合う職場があるのに気が付けない場合もあります。
そこで地方に強い転職エージェントに相談するのも良い方法です。
現地のより詳しい情報を得たり、希望の条件に合う企業に取り次いでもらえたりする可能性もあります。
何より自分のみでは得られない視点が得られることが強みです。

長野が地元の方、県外から興味を持って長野県内で飲食業に就きたい方など就職の動機はさまざまだと思います。
長野県で自分の希望にあった飲食の仕事に就けるよう、ぜひ多方面から情報を収集してみてください。